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甲状腺眼症治療に新たな選択肢
~現在の治療における課題と新治療薬テッペーザ~

甲状腺眼症治療に新たな選択肢
~現在の治療における課題と新治療薬テッペーザ~

現在の甲状腺眼症治療の課題とテッペーザについてご紹介します。

  • 概要
  • ナレーション

甲状腺眼症治療に新たな選択肢 ~現在の治療における課題と新治療薬テッペーザ~
再生時間 07:03

現在の甲状腺眼症治療はステロイドパルス療法や手術が主で、患者さんの入院が必要となることがあります。そんななか、活動性甲状腺眼症の新たな治療薬としてテッペーザが承認され、外来点滴療法での治療が可能となりました。本コンテンツでは、現在の甲状腺眼症治療の課題とテッペーザについてご紹介します。

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甲状腺眼症とバセドウ病は発症部位や病態が異なる疾患であり、治療にあたっては、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の治療に加えて、甲状腺眼症に対しての個別の治療も必要になります。

『甲状腺眼症の手引き』では、

①最重症例に対しては、至急ステロイドパルス療法を開始し、残存する機能障害に対しては、非活動期に眼科機能回復手術を行う
②中等症から重症例においては、活動性があれば免疫抑制療法や放射線照射療法、非活動性であれば眼科的な機能回復手術の適応となる
③軽症例では、日本においては MRIによる眼症の評価および眼症の病態把握を行い、病態に応じた治療法を選択する

と記載されています。

このように、現状では免疫抑制療法や手術などの治療法が主な選択肢となっています。それでは、患者さんが抱える負担についてのデータをみていきましょう。

ステロイドパルス療法は、消炎治療の効果は一定認められるものの、甲状腺眼症の複視や視神経症に対しては限界があり、パルス後にさらに手術が必要になる症例がみられたことが報告されています。さらに異なる報告では、パルス療法1クール目の入院期間中に行った「甲状腺眼症の治療について患者さんがどのように感じているのか」を調べた調査において、「飲み薬と通院で治療できると考えていた」や「こんなに長く入院しなければならないのだとびっくりした」、「仕事を休めるのか分からなかった」といった回答が得られました。

また手術についてはどうでしょうか。
デンマークの研究では、甲状腺眼症患者さんに対しての外科的介入の4年累積発生率が、斜視手術8%、眼窩減圧術5%であったことが報告されています。また、アメリカの調査では、25%の患者さんが手術を実施しており、年間平均20回の診察を受けていたことが報告されています。

このように、甲状腺眼症の治療には入院および手術が必要な場合が多く、新たな治療選択肢が必要かもしれません。

そんななか、本邦において活動性甲状腺眼症の新たな治療薬としてテッペーザが承認されました。

テッペーザはIGF-1受容体を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体です。IGF-1受容体への結合によって、下流のシグナル伝達を阻害することで、外眼筋ならびに眼窩内脂肪組織の肥大および炎症を軽減し、眼球突出を改善させることが期待できます。

テッペーザは3週間に1回、計8回投与を行います。初回は10mg/kg、残り7回は20mg/kgを投与します。

それでは、主な承認の根拠となっている国内第III相臨床試験:OPTIC-J試験をご紹介します。

OPTIC-J試験は、甲状腺眼症を有する日本人患者さんにおいて、テッペーザの有効性、安全性、QOLを評価した試験です。対象は中等症から重症の活動性甲状腺眼症を有する日本人患者さん54例(テッペーザ群27例、プラセボ群27例)でした。

主要評価項目は、24週目点の眼球突出レスポンダー率でした。

解析計画はこちらのとおりでした。

有効性についてご紹介します。主要評価項目である24週時点の眼球突出レスポンダー率はテッペーザ群において88.9%であり、プラセボ群の11.1%に対して有意な眼球突出の改善が認められました。

また、副次評価項目のひとつである24週時点の両眼複視奏効率は、テッペーザ群63.6%、プラセボ群45.0%でした。なお、2群間の統計学的な有意差は認められなかったことから、副次評価項目の検定は本項目にて終了となりました。

続いて安全性についてご紹介します。主な有害事象は、テッペーザ群で脱毛症5例(18.5%)、季節性アレルギー4例(14.8%)、COVID-19感染症4例(14.8%)、耳鳴3例(11.1%)、下痢3例(11.1%)、筋痙縮3例(11.1%)、プラセボ群でCOVID-19感染症3例(11.1%)でした。また、投与中止に至った副作用は、テッペーザ群で感音性聴力低下が1例に認められました。

今回のまとめです。
現在の甲状腺眼症治療では患者さんの入院が必要になることがあります。活動性甲状腺眼症の新たな治療薬として承認されたテッペーザは、外来点滴療法での治療を可能にします。活動性甲状腺眼症の治療に、ぜひテッペーザの使用をご検討ください。

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