お客様の認証情報を現在確認中です。
知っておきたい! 甲状腺眼症への適切な治療介入のポイント
知っておきたい! 甲状腺眼症への適切な治療介入のポイント
甲状腺眼症を診療している医師および医療機関への紹介基準や活動性甲状腺眼症の新たな治療薬であるテッペーザについてご紹介します。
-
概要
-
ナレーション
知っておきたい! 甲状腺眼症への適切な治療介入のポイント
再生時間 07:11
甲状腺眼症は、外見の変化および視機能への影響によって、QOLが著しく損なわれる疾患です。このような甲状腺眼症の適切な治療介入のためには早期診断が不可欠になります。本コンテンツでは、甲状腺眼症を診療している医師および医療機関への紹介基準や活動性甲状腺眼症の新たな治療薬であるテッペーザについて紹介します。
続きを読む甲状腺眼症の適切な治療介入のためには早期診断が不可欠ですが、誤診や診断の遅れがみられることが報告されています。こうした誤診や診断の遅れは、甲状腺眼症を診療している医師および医療機関への紹介が遅れることにつながり、患者さんの治療機会を逃す原因となる可能性があります。そのため、鑑別診断や紹介のための基準を理解することが重要になります。
「バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針2023」では、ご覧のように、甲状腺眼症の管理チャートが記載されており、一般内科医または一般眼科医の先生は甲状腺眼症を診療する機関へ患者さんを紹介し、診療を行うようになっています。
実際、参考となる紹介基準として、治療指針にこのように記載されています。
受診した患者さんがこれらの項目に該当する場合は、甲状腺眼症を診療できる機関へ速やかに紹介することをご検討ください。
甲状腺眼症を疑う場合、眼科検査を含む眼科診察、臨床検査および画像検査を行います。そして、疾患の活動性と重症度を考慮して治療方針を決定します。
活動性の評価には主にCASが用いられ、CASは治療効果の予測にも有用とされています。
しかし、日本人においてはCASが低値であってもMRIで活動性が認められることがあり、MRIによる評価が推奨されています。T1強調画像は、眼瞼の状態、眼球突出度、後眼窩容積、外眼筋腫大度などを定量的に評価でき、視神経症の診断にも有用とされています。また、T2強調画像は外眼筋T2緩和時間延長の有無を観察することができ、T2緩和時間の測定が可能であればさらに病態把握の参考となります。
一方、甲状腺眼症の重症度の評価については、治療指針において、ご覧のように3段階に分類するとされています。
それでは、重症度別の治療法はどうなっているのでしょうか。最重症例に対しては、至急ステロイドパルス療法を開始し、残存する機能障害に対しては、非活動期に眼科機能回復手術を行います。 中等症~重症例においては、活動性があれば免疫抑制療法や放射線照射療法、非活動性であれば眼科的な機能回復手術の適応となります。また、軽症例では、日本においては MRIによる眼症の評価および眼症の病態把握を行い、病態に応じた治療法を選択します。
この度、甲状腺眼症の新たな治療薬としてテッペーザが承認されました。
テッペーザはIGF-1受容体を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体です。
IGF-1受容体への結合によって、下流のシグナル伝達を阻害することで、外眼筋ならびに眼窩内脂肪組織の肥大および炎症を軽減し、眼球突出を改善させることが期待できます。
テッペーザは3週間に1回、計8回投与を行います。初回は10mg/kg、残り7回は20mg/kgを投与します。
それでは、主な承認根拠となっている国内第III相臨床試験:OPTIC-J試験を紹介します。
OPTIC-J試験は、甲状腺眼症を有する日本人患者さんにおいて、テッペーザの有効性、安全性、QOLを評価した試験です。対象は中等症~重症の活動性甲状腺眼症を有する日本人患者さん54例(テッペーザ群27例、プラセボ群27例)でした。主要評価項目は、24週目の眼球突出レスポンダー率でした。
解析計画はこちらのとおりでした。
有効性についてご紹介します。主要評価項目である24週時点の眼球突出レスポンダー率はテッペーザ群において88.9%であり、プラセボ群の11.1%に対して有意な眼球突出の改善が認められました。
こちらは、全般的奏効率を示したグラフです。副次評価項目である24週時点の全般的奏効率はテッペーザ群において77.8%、プラセボ群において3.7%でした。
続いて安全性についてご紹介します。主な有害事象は、テッペーザ群で脱毛症5例(18.5%)、季節性アレルギー4例(14.8%)、COVID-19感染症4例(14.8%)、耳鳴3例(11.1%)、下痢3例(11.1%)、筋痙縮3例(11.1%)、プラセボ群でCOVID-19感染症3例(11.1%)でした。
今回のまとめです。
甲状腺眼症の適切な治療介入のためには早期診断が不可欠であり、一般内科医・一般眼科医の先生においては甲状腺眼症を診療できる機関への紹介基準を理解することが重要になります。従来、活動性のある甲状腺眼症に対しては、免疫抑制療法や放射線照射療法を用いた治療が行われてきましたが、この度、新たな治療の選択肢としてテッペーザが承認されました。ぜひ活動性甲状腺眼症の治療に、テッペーザの使用をご検討ください。