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データから読み解く 甲状腺眼症の日常生活への影響
データから読み解く 甲状腺眼症の日常生活への影響
甲状腺眼症による視機能の低下や心理面、就労への影響、そして活動性甲状腺眼症の新規治療薬であるテッペーザについてご紹介します。
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概要
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ナレーション
データから読み解く 甲状腺眼症の日常生活への影響
再生時間 06:58
甲状腺眼症は患者さんの日常生活に影響を及ぼしており、特に眼球突出などの顔貌の変化は、患者さんの精神的健康を損なう要因となります。本コンテンツでは、甲状腺眼症による視機能の低下や心理面、就労への影響、そして活動性甲状腺眼症の新規治療薬であるテッペーザについてご紹介します。
続きを読む甲状腺眼症の患者さんは、複視などの視機能の障害や顔貌の変化による行動の変容などによって、日常生活や社会的生活に制限が生じるリスクがあります。
実際、102例の甲状腺眼症患者さんを対象にした海外の調査結果では、45%の患者さんが不安、抑うつ、またはその両方を感じていたと報告されています。
また、オーストラリアでは、128例を対象に、modified GO-QOL質問票を用いた調査が行われました。GO-QOLとは、視機能と社会心理面の2つを測る甲状腺特異的なQOLのことをいい、点数が高いほどQOLは高くなります。この調査では、患者さんの63%が、顔貌の変化が心理社会的機能に著しく影響したと回答しました。
甲状腺眼症は就労にも影響し、経済的な負担が生じる場合があります。ドイツで行われた調査では、甲状腺眼症患者さんのおよそ三分の一が一時的または永続的に就労不能となり、病気休暇の平均期間は22.3日/年で、重症度が増すと病気休暇の期間が長くなったことが報告されています。
このように、患者さんは日常生活のさまざまな面において甲状腺眼症による影響を受けていて、治療ニーズがあることが示唆されます。
そんななか、本邦において活動性甲状腺眼症の新たな治療薬としてテッペーザが承認されました。
テッペーザはIGF-1受容体を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体です。IGF-1受容体への結合によって、下流のシグナル伝達を阻害することで、外眼筋ならびに眼窩内脂肪組織の肥大および炎症を軽減し、眼球突出を改善させることが期待できます。
テッペーザは3週間に1回、計8回投与を行います。初回は10mg/kg、残り7回は20mg/kgを投与します。
それでは、主な承認の根拠となっている国内第III相臨床試験:OPTIC-J試験をご紹介します。
OPTIC-J試験は、甲状腺眼症を有する日本人患者さんにおいて、テッペーザの有効性、安全性、QOLを評価した試験です。対象は中等症から重症の活動性甲状腺眼症を有する日本人患者さん54例(テッペーザ群27例、プラセボ群27例)でした。
主要評価項目は、24週時点の眼球突出レスポンダー率でした。
また、安全性の評価項目はこちらのとおりでした。
解析計画はこちらのとおりでした。
有効性についてご紹介します。主要評価項目である24週時点の眼球突出レスポンダー率はテッペーザ群において88.9%であり、プラセボ群の11.1%に対して有意な眼球突出の改善が認められました。
上位の副次評価項目である両眼複視奏効率にて、統計学的に有意な改善が認められなかったため検定の手順を終了しましたが、本試験においてGO-QOLスコアの変化量を検討しました。GO-QOLスコアは6点以上の変化がみられた場合、治療効果があったとみなされます3)。
24週時点のGO-QOL質問票の総合スコアのベースラインからの変化量は、テッペーザ群17.39、プラセボ群6.39であり、プラセボ群とテッペーザ群間に有意差が認められました。
また、24週時点の視機能に関するサブスケールのスコアのベースラインからの変化量は、テッペーザ群16.22、プラセボ群4.39、社会心理面に関するサブスケールは、テッペーザ群19.35、プラセボ群8.69であり、ともにプラセボ群とテッペーザ群間に有意差が認められました。
続いて安全性についてご紹介します。主な有害事象は、テッペーザ群で脱毛症5例(18.5%)、季節性アレルギー4例(14.8%)、COVID-19感染症4例(14.8%)、耳鳴3例(11.1%)、下痢3例(11.1%)、筋痙縮3例(11.1%)、プラセボ群でCOVID-19感染症3例(11.1%)でした。また、投与中止に至った副作用は、テッペーザ群で感音性聴力低下が1例に認められました。
今回のまとめです。
甲状腺眼症は視機能を低下させるだけでなく、患者さんの心理面や就労など、日常生活にも影響を及ぼします。テッペーザは、活動性甲状腺眼症を適応とする新たな治療薬であり、臨床試験では、24週時点の眼球突出レスポンダー率やGO-QOLスコア、安全性などが検討されました。活動性甲状腺眼症の治療に、ぜひテッペーザの使用をご検討ください。